rsyncでの–link-destオプション使用時の挙動概要
rsyncで--link-destオプションを使って差分履歴バックアップを取るときの挙動概要
バックアップ元(sourceディレクトリ内)にfile1~3のファイルがあるものとします。
(各パスは実際には正確に指定するものとします)
すべてのファイルがバックアップされます。
--link-destオプションにdestディレクトリを指定していますが、存在しないディレクトリなので無視されます。
バックアップ元のファイルは更新されていないので(backup1の中の各ファイルと同一)、全てのファイルに対してハードリンクのみが作成されます。
ハードリンクはファイルパス(ディレクトリエントリ)は複数存在しますがファイルの実体とiノードは同一のものを指している状態になります。
例えとして適切かは分かりませんが、電車のドア(ディレクトリエントリ)が複数あっても車内(iノード、実体)は同一と考えると分かりやすいかもしれません。
この状態で例えば backup1/file1 を書き換えると、backup2/file1 も同じiノードを指しているため backup2/file1 の内容も同じように変わりますが、backup1/file1 を削除しても backup1/file1 のディレクトリエントリが削除されるのみで、backup2/file1 は残ります。
バックアップ元のfile1が更新されているのでfile1のみ新たな実体ファイルとしてコピーされ、残りのファイルは引き続きハードリンクのみが作成されます。
「file1(new)」と書いていますが内容が更新されているという意味で、ファイル名に「(new)」が付加されているということではありません。
file2は作成されず、3回目のバックアップには無かったfile4がバックアップ元からコピーされ、残りのファイルはハードリンクのみが作成されます。
backup1にあったfile1~3のハードリンクは削除されましたが、他のbackupディレクトリのファイルはこれまで通り残っています。
backup3のfile1(new)、file2、file3のハードリンクが削除されました。
他のbackupディレクトリのファイルはこれまで通り残っています。
backup2内のfile1、file2の実体と、file3のハードリンクが削除されました。
backup4ディレクトリのファイルはこれまで通り残っています。
file1(new)とfile4はハードリンクが作成され、file3(new)が新たにコピーされました。
これらの動作から、一番古いバックアップを削除し、最新のバックアップをlink-destの対象としてrsyncでバックアップすることで、上手い具合にローテーションさせつつ差分履歴バックアップが取れることがわかります。
ハードリンクの特徴をうまく利用した機能だと思います。