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 やなせたかし記念館NEWS

2012. 7. 8 (日)

アンパンマンミュージアム&詩とメルヘン絵本館から季刊発行されている
「やなせたかし記念館NEWS」という美術館だよりがあります。
その中に、かつて刊行されていた月刊「詩とメルヘン」にゆかりのある作家を紹介するコーナーがあるのですが、今回は「磯貝裕美特集」として、昨年末に発行された磯貝さんの詩集「Marmarade」より詩とイラストが数点紹介されています。

画像では読み取りにくいと思いますので…
紹介されている詩です。

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■ 五月の風のように

花びらにまぎれて
会いにいきます
猫のフリして
そばにいきます

空気にとけて
より添います

-あなたのしあわせ、
 見とどけたなら

さらりと吹き抜ける
五月の風のように

ほほえみながら
帰ってきます

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■ 蝉しぐれ

わたしは
一匹の
ひぐらしになって

朝な夕な、
泣きつづけて
  おりました

アイタイ、カナカナ
サミシイ、カナカナ
セツナイ、カナカナ…

あなたの知らない
森の夏。

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■ 廃屋の秋

だあれもいない
縁側で

すずめの子らが
ひなたぼこ。

おじいちゃん、
おらんねぇ

おばあちゃん、
おらんねぇ

ただ
風が吹く。

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■ さがしもの

あの空のどこかにね、
置き去りにしてきた
夏があるの

だれか
さがしてくれませんか?

あの空のどこかにね、
つづきの来ない
恋があるの

だれか
たずねてくれませんか?

素直になれずに
背中を向けた、
つよがりな女の子と

追いかけることも
できなかった、
いくじなしの少年が

目じるしなんですが…

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■ 月の夜

窓をたたくのは
風、
あなたじゃなく

髪を撫でたのは
落ち葉、
あなたじゃなく…

ためいきに
翼をつけたい
月の夜、

窓の下では
つわぶきの、
黄色い花が
そよいでいる

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