やなせたかし記念館NEWS
アンパンマンミュージアム&詩とメルヘン絵本館から季刊発行されている
「やなせたかし記念館NEWS」という美術館だよりがあります。
その中に、かつて刊行されていた月刊「詩とメルヘン」にゆかりのある作家を紹介するコーナーがあるのですが、今回は「磯貝裕美特集」として、昨年末に発行された磯貝さんの詩集「Marmarade」より詩とイラストが数点紹介されています。
画像では読み取りにくいと思いますので…
紹介されている詩です。
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■ 五月の風のように
花びらにまぎれて
会いにいきます
猫のフリして
そばにいきます
空気にとけて
より添います
-あなたのしあわせ、
見とどけたなら
さらりと吹き抜ける
五月の風のように
ほほえみながら
帰ってきます
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■ 蝉しぐれ
わたしは
一匹の
ひぐらしになって
朝な夕な、
泣きつづけて
おりました
アイタイ、カナカナ
サミシイ、カナカナ
セツナイ、カナカナ…
あなたの知らない
森の夏。
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■ 廃屋の秋
だあれもいない
縁側で
すずめの子らが
ひなたぼこ。
おじいちゃん、
おらんねぇ
おばあちゃん、
おらんねぇ
ただ
風が吹く。
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■ さがしもの
あの空のどこかにね、
置き去りにしてきた
夏があるの
だれか
さがしてくれませんか?
あの空のどこかにね、
つづきの来ない
恋があるの
だれか
たずねてくれませんか?
素直になれずに
背中を向けた、
つよがりな女の子と
追いかけることも
できなかった、
いくじなしの少年が
目じるしなんですが…
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■ 月の夜
窓をたたくのは
風、
あなたじゃなく
髪を撫でたのは
落ち葉、
あなたじゃなく…
ためいきに
翼をつけたい
月の夜、
窓の下では
つわぶきの、
黄色い花が
そよいでいる
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